2005年03月27日

ドラゴンランスと「出会い」の物語

 ドラゴンランスにとって最初のシリーズである「ドラゴンランス(戦記)」は、今でも輝きを失わない傑作だと思いますが、その魅力の理由を考えると、やはりその登場人物の魅力を無視することはできないでしょう。
 小説で人物を描く方法はいろいろありますが、「ドラゴンランス(戦記)」の場合は、主人公たちが RPG 的な「パーティー」を組んでいることがキャラクターの個性を表現することにつながっています。アクの強い面々がパーティーというひとつの集団になることで、様々な葛藤や衝突が生まれ、それが登場人物に深みと魅力を与えているのです。海外ドラマなどで、職場の同僚や家族、ルームメイトなど、個性の強いキャラクター同士のぶつかり合いで話を作っていくタイプがありますが、構造としては近いものがあると思います。

 ワイスとヒックマンが、主人公たちにパーティーを組ませたのは、もちろん元になる D&D のスタイルを意識したせいでしょうが、やがて、ストーリーテリング上の限界を感じたらしく、「ドラゴンランス(戦記)」の後半からはパーティーは分断されていきます。

 その後のドラゴンランスでは、「集団内での個性のぶつかり合い」というスタイルを捨てる代わりに、「複数のストーリーの平行と錯綜」によって物語を組み立てていく手法が取られるようになります。そうすれば、単一のストーリーを追っていくスタイルよりも、ずっと複雑な物語を組み立てることができますから。「ドラゴンランス(戦記)」、「ドラゴンランス伝説」、「夏の炎の竜」の順に、そのようなスタイルの変化を認めることができます。そして「魂の戦争」もそうしたスタイル変化の延長線上にある作品です。

 しかし「集団内での葛藤」を捨てた分、キャラクターの表現を他の方法に求めなければなりません。そこでポイントになってくるのが、キャラクター同士の「出会い」なのだと私は思います。

 「魂の戦争」では、新しいキャラクターも、昔からのキャラクターも、いろいろと登場しますが、平行したり錯綜したりして進行する複数のストーリーの中で、どのタイミングで誰と誰が出会うのかというのもひとつのポイントです。思いがけないタイミングで出会うこともあり、さんざん引っ張って期待を高めた上での出会いもありで、これは作者の腕の見せ所でしょう。
 そして互いに出会った登場人物は、それぞれ己の流儀に従って、対立したり、協力したり、あるいはお互いの意味に気づかぬまますれ違っていったりします。そこで見えてくるキャラクターの個性が、第二の見所です。

 早いところでは既に店頭に並んでいるようですが、「魂の戦争」を読むときにはそんなことをちょっと気にしながら読んでみると面白いかもしれません。まあ、第一巻はホントにまだまだ序盤なのでなかなか話が見えてこないのですが、それでもかなり面白いですよ。
posted by Glaurung at 16:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラゴンランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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